飯田下伊那の保存食 市田柿
昨年末は、柿が豊作だった。
友人から柿をもらって市田柿(干し柿)を作ってみた。
イオウ燻蒸というのをするときれいに出来るんだそうだけれど
個人の家で作って食べるのだから、省略。
で、それが冷蔵庫の中にしまってあって、正月の今頃食べる。
この地方は、冬は雪が積もって、作物は出来なかった。
そこで冬の保存食として、干し柿は栽培されていたんだと思う。
ここ下伊那郡より北の、上伊那郡へ行くと、各家庭に柿の木がある。
今の季節、鳥にも食べられなくて、熟し柿がたくさん木になったままになっているのが
たくさん見られる。
市田柿は、種が少ないということで、商品にもなって今でも残っているのだろう。
飯田の北の市田にあるのは市田柿だけれど、飯田の南には立石柿という串柿があって、
伊勢の漁師が正月の飾りにしてとか聞く。
立石柿は種が入っていることが多いんだけれど
そして大きな木があって、それに登って取ったんだそうで
柿の木は折れやすいので注意しろと、どこかで言われたのを記憶している。
さて、市田柿は、正月、こたつに入って食べた。
この地方の人には、
「あんな物はおいしくない。」
とか嫌いだとかいう人もいるけれど
それは、正月の田舎料理というイメージが未だにあるのかも知れない。
それに、今の干し柿よりほしすぎて堅かったきがする。
しっかり干したほうが保存に向いていたんじゃないかな。
けれど、今では、市田柿は高級菓子で通っている。
農家でも、作るときは、今は白い帽子をかぶり、白いマスクをして、白い服を着て
衛星に気をつけて作っているし、そういう過程を踏まないと販売にならない。
で、我が家の干し柿は、売っているほどきれいな色ではないけれど
正月の食べ物で重宝しているのだ。